ウイルスの入り口は”粘膜”。食べて守る、秋冬の感染症対策

この記事の著者
【氏名】杉本愛季(管理栄養士、公認スポーツ栄養士)
【経歴】
2012年〜2016年 スポーツ会社 管理栄養士として勤務
2016年〜2021年 大学助手(栄養学科)として勤務
2021年〜2024年 病院管理栄養士として勤務
2024年~ フリーランスとして活動
【資格・免許】
2014年 5月 管理栄養士免許 取得
2016年 5月 健康運動指導士資格 取得
2021年 10月 公認スポーツ栄養士資格 取得
インフルエンザやかぜが気になる季節になってきました。
手洗い・うがい、しっかり寝ること。
もちろん大切ですが、まずは体の中の”最初の関門”に目を向けてみましょう。
それが、鼻やのどの粘膜。
今回は、この粘膜を食事から整えるお話です。
乾燥するこれからの時期に、知っておきましょう!
目次
そもそも、粘膜は”最初の関門”
鼻やのど、気道の表面をおおっている粘膜。
ウイルスや細菌が体に入ろうとするとき、まずぶつかるのがこの粘膜です。
いわば、外からの侵入を防ぐ最前線のバリアです。
粘膜の表面はいつも潤っていて、入ってきた異物をからめとり、
外へ押し出す働きがあると言われています。手洗いやマスクが“外からの対策”なら、
粘膜は”体にもともと備わった内側の守り”、と言えます。
もう少し細かく見ると、のどや気道の粘膜には線毛(せんもう)という小さな毛がびっしり。
粘液でからめとった異物を、この線毛が波打つように動かして、
少しずつ外へ運び出していると言われています。
そして、粘膜が潤っているほど、この”お掃除”がスムーズに働きます。
ところが、空気が乾く秋冬は、この粘膜も乾いて働きが落ちやすくなります。
乾燥でノドがイガイガするのは、その入り口がゆるんでいるサインかもしれません。

粘膜を支える栄養① ビタミンA
粘膜づくりで、まず意識したいのがビタミンA。
「皮膚や粘膜の健康維持を助ける」栄養素として知られています。
(多く含む食材)
- にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜
- 卵、乳製品
- うなぎ、レバー
緑黄色野菜に多い”β-カロテン”は、体の中で必要な分だけビタミンAに変わります。
だから野菜からとるぶんには、とりすぎの心配が少ないのがうれしいところ。
にんじん・かぼちゃ・ほうれん草といった”色の濃い野菜”が目印で、
ちょうど秋に出回るものも多いです。
ビタミンAは脂溶性ビタミン。
脂に溶けやすいので、油と一緒だと吸収されやすくなります。
にんじんを炒めたり、青菜をごま油で和えたり。
ちょっとした油づかいがコツです。
忙しい日は、冷凍のほうれん草やかぼちゃ、カット野菜を使ってもOK。
構えすぎず、自分のできる方法で緑黄色野菜を食べてみましょう。
ひとつだけ注意ポイントがあります。
レバーやサプリのビタミンA(レチノール)は、とりすぎると体にたまります。
毎日大量にではなく、“適量を食べる”を心がけましょう。

粘膜を支える栄養② たんぱく質
粘膜も、体をつくる細胞のひとつ。その材料になるのがたんぱく質です。
たんぱく質は、肉・魚・卵・大豆製品などから。
肉や魚なら、1食で手のひら1枚ぶんが目安です。
そこまで用意できない日は、卵1個、納豆1パック、冷ややっこ(豆腐3分の1丁)のような手軽な一品を足すだけでもOK。
いろいろな食材から、1日かけてこまめにとれれば十分です。
とくに気をつけたいのが、体調をくずしたとき。
熱が出たりかぜぎみだったりすると食欲が落ちて、おかゆやうどんなど、あっさりしたものだけで済ませがちですよね。
でも、体が回復に向かうときこそ、材料になるたんぱく質はとっておきたいもの。
そんなときは、卵がゆ、豆腐やとき卵を加えたスープ、温かい茶わん蒸しなど、
消化にやさしくてたんぱく質もとれるものがおすすめです。

粘膜を支える栄養③ ビタミンC
ビタミンCは、粘膜や肌のハリをつくるコラーゲンに関わり、抗酸化の働きもあるとされています。
ブロッコリー、パプリカ、キウイ、柑橘など、野菜や果物に多く含まれています。
水に溶けやすく熱に弱いので、生で食べられるものや、
汁ごといただくスープで取り入れるのがおすすめです。
また、ビタミンCは体にためておけない栄養素です。
一度にたくさんとるより、毎食ちょこちょこ摂るようにしましょう。

迷ったら、具だくさんスープが便利
あれこれ考えると大変なので、ひと皿にまとめてしまうのがラクちんです。
たとえば、にんじん・かぼちゃ・ほうれん草に、鶏肉や卵を加えた具だくさんスープ。
- 緑黄色野菜で、ビタミンA
- 鶏肉や卵で、たんぱく質
- 汁ごと食べれば、溶け出した栄養もムダなく
体も温まって、乾燥するこの時期にぴったりの一品です。

おわりに
“これを食べれば感染症を防げる”という食べ物は、残念ながらありません。
でも、ウイルスの最初の関門=粘膜を、食事と乾燥対策で整えておくことはできます。
手洗い・うがいや、しっかり眠ることも大切に。
できることから、守りの土台を整えていきましょう。
【参考】
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 消費者庁「栄養機能食品」制度(ビタミンA・ビタミンCの表示)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」