秋こそ始めたい”スロージョギング”のすすめ

この記事の著者
【氏名】杉本愛季(管理栄養士、公認スポーツ栄養士)
【経歴】
2012年〜2016年 スポーツ会社 管理栄養士として勤務
2016年〜2021年 大学助手(栄養学科)として勤務
2021年〜2024年 病院管理栄養士として勤務
2024年~ フリーランスとして活動
【資格・免許】
2014年 5月 管理栄養士免許 取得
2016年 5月 健康運動指導士資格 取得
2021年 10月 公認スポーツ栄養士資格 取得
涼しくて過ごしやすい秋は、体を動かすのにぴったりの季節。
「そろそろ運動でも…」と思いつつ、「ジョギングはきつそう」「どうせ続かない」と、なかなか一歩が踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そんな方にこそ知ってほしいのが、“スロージョギング”。
その名のとおり、歩くくらいのゆっくりペースで走る運動です。
今回は、その魅力とコツをご紹介します。
目次
スロージョギングって?
スロージョギングは、福岡大学の田中宏暁先生が提唱した走り方で、
時速6kmほど、”歩くより少し早め”のスピードでゆっくり走ります。
「それって、ほぼ歩いてるのと同じでは?」と思いますよね。
でも、ここがおもしろいところです。
歩くのと同じくらいのスピードなのに、走る動きになるだけで、
体への効果は大きく変わるんです。
目印は”ニコニコペース”
ペースの目安は、とてもシンプル。
「隣の人と、笑顔でおしゃべりしながら走れる速さ」です。
スロージョギングでは、これを“ニコニコペース”と呼びます。
息が上がってハアハアするようなら、速すぎるサイン。
この会話できるくらいのペースは、心臓にも負担がかかりにくく、きつさも緩やか。
だから、運動が苦手な人でも続けやすいんです。

歩くのと、何が違う?
「ゆっくりなら、ウォーキングでいいのでは?」——そう思うかもしれません。
でも、スロージョギングには、歩くのとはちがう良さがあります。
- エネルギー消費が、ウォーキングの約1.6〜2倍(同じ時間でも効率的)
- 太ももやお尻の大きな筋肉をしっかり使う
- ランニングほど膝や足首に負担がかからない
“歩くより効いて、走るよりやさしい”。
そのちょうど中間にあるのが、スロージョギングなんです。

スロージョギングの、うれしい効果は3つ
ラクなペースなのに、体にはうれしい変化がいろいろ。大きく3つにまとめてみました。
1. 脂肪を使いやすい
息が上がるような激しい運動では、体は主に“糖”をエネルギーに使います。
一方で、会話できるくらいの軽い運動のときほど、”脂肪”をエネルギーに使いやすいといわれています。しかも、持続的な運動で活躍する“遅筋(ちきん)”が使われるので、脂肪を燃やしやすい体づくりにも。
“ラクなのに、脂肪には効く”、嬉しい効果です。
2. 体力がついて、持久力に期待
有酸素運動なので、心肺の持久力が少しずつ高まります。
田中先生の研究では、
年齢を重ねて落ちがちな心臓や筋肉の働きも、軽い運動を続けることで改善しうる
ことが示されているんです。
“もう歳だから”とあきらめていた人にも、心強い報告です。
3. 気分がスッキリ
外の空気を感じながら体を動かすと、気分のリフレッシュに。
脳が活性化して、前向きになるという報告もあります。
体だけでなく、心にもいい効果をもたらしてくれます。

続けやすいフォームのコツ
フォームを少し意識するだけで、同じ距離でも体への負担が変わります。
ポイントは4つです。
- 足は”足の裏の中ほど”から、やさしく着地
かかとからドンと着くと、衝撃が膝や腰に伝わりやすくなります。足裏全体でそっと置くイメージで
- 歩幅は小さく、足の回転は多めに
大股は疲れのもと。”その場で足踏みするくらい”の小さな歩幅で、ちょこちょこ運ぶのがコツ
- 背すじは軽く伸ばし、目線はまっすぐ前へ
下を向くと背中が丸まって呼吸も浅くなります。頭を上から軽く吊られているイメージで
- 肩と腕の力は抜いて、自然に
こぶしはふんわり握る程度。肩に力が入ると、それだけで疲れてしまいます
よくあるのが、速く走ろうとして大股・かかと着地になってしまうこと。
スロージョギングは、“歩くくらいの速さを、走る動きで”。ゆっくりでいいので、小さく・やわらかく、が合言葉です。

無理なく始めるには
いきなり長く走る必要はありません。
目安は1日20〜30分ほどですが、1回1〜3分を、こまぎれにしてもOK。
買い物や散歩の途中で、少しだけ走ってみる、くらいから始められます。
“もう少し走れそう”と感じても、会話できるペースを超えないことが、
長く続けるいちばんのコツです。
外に出るのが億劫な日は、その場で足踏みするスロージョギングでもOK。
天気や場所を選ばないので、雨の日や寒い朝の”つなぎ”にも便利ですよ。

おわりに
スロージョギングは、
“運動が続かない”
“ひざや腰が少し不安”
“久しぶりに運動したい”
そんな方にこそ、ぴったりな運動です。
夏は暑くて外に出れなかった方も、まずは一歩外に出て、
涼しい秋の風を感じながら、気持ちよく体を動かしてみてください。
【参考】
- 一般社団法人 日本スロージョギング協会
- 田中宏暁「スロージョギングの効用と減量法」(日本スポーツ栄養研究誌)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「エアロビクス/有酸素性運動」