疲れが抜けない人の味方、”ビタミンB1″をムダなく摂る食べ方

この記事の著者
【氏名】杉本愛季(管理栄養士、公認スポーツ栄養士)
【経歴】
2012年〜2016年 スポーツ会社 管理栄養士として勤務
2016年〜2021年 大学助手(栄養学科)として勤務
2021年〜2024年 病院管理栄養士として勤務
2024年~ フリーランスとして活動
【資格・免許】
2014年 5月 管理栄養士免許 取得
2016年 5月 健康運動指導士資格 取得
2021年 10月 公認スポーツ栄養士資格 取得
8月も終わりに近づいてきました。
朝晩は暑さも少しずつやわらいで、過ごしやすくなってくる時期ですね。
その一方で、
なんだか疲れが抜けない…
しっかり寝ているのにだるい…
など、疲れが抜けにくい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな疲れの対策に、もってこいのビタミンが“ビタミンB1”。
今回は“ビタミンB1”、何を・どれくらい・どう食べればいいのかまで、お伝えしていきます!
目次
ごはんは食べただけではエネルギーにならない
「エネルギーのもとになるのは、ごはん・パン・麺類などの糖質」
これはよく知られている話だと思います。
でも、ここで一つ大事なポイントがあります。
糖質は、食べただけでは体の中でエネルギーになりません。
体の中にある“クエン酸回路”というエネルギー工場で、作り変えられてはじめてエネルギーになります。
そして、糖質がこの工場の入口をくぐるときに必要なのが、“ビタミンB1”です。
例えるなら、糖質は”薪(まき)”、ビタミンB1は”マッチ”のような関係。
いくら薪をたくさん積み上げても、マッチがなければ火はつきません。
実際に、ビタミンB1が不足すると、糖質から十分にエネルギーをつくれなくなり、
疲労感やだるさ、食欲不振などにつながると言われています。※1
「ごはんはしっかり食べているのに疲れる…」という方は、この”マッチ”が足りていないのかもしれません。

“ビタミンB1”が不足しやすい人の特徴
ビタミンB1は水に溶けやすい“水溶性ビタミン”で、体にためておくことが苦手です。
だから毎日コツコツ摂る必要があるのですが、特に消費が増えやすいのがこんな場合です。
- 糖質中心の食事になりがち
ごはん・麺・パン・甘いものが多いほど、B1の”出番”も増えます※1 - お酒を飲む機会が多い
アルコールの代謝でもB1が使われると言われています - 汗をよくかく・運動量が多い
水溶性のため、汗とともに失われやすいと言われています
「夏は汗をかきながら、冷たい麺とビールで済ませる日が多かったなぁ」
という方、ビタミンB1の消費が増えているかもしれません。

何を、どれくらい食べればいい?
ビタミンB1の1日の推奨量は、年代によって以下の通りです。※2
- 18〜29歳…男性1.1mg/女性0.8mg
- 30〜49歳…男性1.2mg/女性0.9mg
- 50〜64歳…男性1.1mg/女性0.8mg
- 65〜74歳…男性1.0mg/女性0.8mg
- 75歳以上…男性1.0mg/女性0.7mg
自分の年代の数字を頭に置いて、B1を多く含む食材を見てみましょう。(100gあたり)※3
- 豚ヒレ肉 1.32mg
- 豚もも肉 0.96mg
- 大豆(乾) 0.83mg
- うなぎ(かば焼き) 0.75mg
- たらこ 0.71mg
- 枝豆 0.24mg
- 玄米ごはん 0.16mg(白米ごはんは0.02mg)
こうして見ると、エースはなんといっても豚肉。
特にヒレやももなどの赤身の部位に多く、
豚ヒレ肉100gで、1日の推奨量をクリアできてしまいます。
そしてもう一つ注目してほしいのが、ごはんの比較。
玄米ごはんは白米ごはんの8倍のB1を含んでいます。
「毎食のごはんを胚芽米や雑穀入りに替える」だけでも、
B1の土台を底上げできるということです。

ビタミンB1をムダにしない合わせ技
ここからは、摂ったB1をムダにしない”合わせ技”です。
合わせ技①:玉ねぎ・ねぎ・にんにく・にらと一緒に
一つ目は、玉ねぎ・ねぎ・にんにく・にらとの組み合わせ。
これらに含まれる香り成分“アリシン”は、ビタミンB1と結びつくことで、
体に吸収されやすく、体の中にとどまりやすい形になると言われています。
豚肉と玉ねぎの生姜焼き、豚肉とにらの炒め物、ねぎたっぷりの豚汁など。
皆さんもよく食べる定番メニューは、実はビタミンB1を効率よく摂れる組み合わせになっているものも多いんです。
疲れた日のご飯は、
「豚肉を食べるときは、香味野菜をひとつ添える」をポイントにしてみてください。
合わせ技②:ビタミンB1を逃がさない調理のコツ
二つ目は調理法です。
B1は水に溶けやすいので、ゆで汁や煮汁に流れ出てしまうため、その対策が大切です。
- 汁ごと食べる…豚汁やスープ、鍋など、汁まで味わえる料理に
- 加熱は短めに…しゃぶしゃぶのようにサッと火を通す
- 主食を替える…白米→胚芽米・雑穀米・玄米に
「豚しゃぶは、ゆで汁をスープにして飲む」なんて一工夫も、B1をムダなく摂るコツです。

まとめ:おすすめ献立
最後に、今回の内容を詰め込んだおすすめ献立を3つ。
- 豚肉と玉ねぎの生姜焼き+胚芽米ごはん
- 具だくさんの豚汁(豚もも・ねぎ・にら入り)
- 豚しゃぶサラダ+枝豆

9月に入っても、まだまだ暑い日は続きそうです。
汗をたくさんかいた日、運動した日、「なんだか今日は疲れたな」という日こそ、豚肉の出番です。
ビタミンB1を味方にして、夏の疲れを癒していきましょう!
【参考】
※1 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「ビタミンB1の働きと1日の摂取量」
※2 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
※3 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」