夏の運動、水分補給で差がつく!上手な飲み方のコツ

この記事の著者
【氏名】杉本愛季(管理栄養士、公認スポーツ栄養士)
【経歴】
2012年〜2016年 スポーツ会社 管理栄養士として勤務
2016年〜2021年 大学助手(栄養学科)として勤務
2021年〜2024年 病院管理栄養士として勤務
2024年~ フリーランスとして活動
【資格・免許】
2014年 5月 管理栄養士免許 取得
2016年 5月 健康運動指導士資格 取得
2021年 10月 公認スポーツ栄養士資格 取得
梅雨が明ければ、いよいよ本格的な夏。
ウォーキングやジョギング、お子さんの部活など、夏でも体を動かす機会は多いですよね。
でも、暑い時期の運動でこわいのが“脱水”と”熱中症”。
今回は、夏の運動を安全に、そして効果的にするための“上手な水分補給のコツ”を、運動の前・中・後に分けてお伝えしていきます。
目次
なぜ運動中の水分補給はそんなに大事?
運動をすると、体は汗をかいて体温を下げようとします。
このとき、思っている以上に体から水分が失われています。
運動で失われた水分が体重の2%を超えると、持久力やパフォーマンスが落ち始めると言われています。
さらに体重の3%を超えると、体温を調節する力まで低下し、熱中症のリスクが高まります。
・体重60kgの方の2%…約1.2kg(=約1.2リットル)
・たった2%でも、運動の質や安全に大きく影響する

「これくらいの汗なら大丈夫」と思っていても、夏は知らないうちに水分が抜けていきます。
特にお子さんは、大人よりも体温が上がりやすく、自分で不調に気づきにくいので、まわりの大人が声をかけてあげることが大切です。
「のどが渇いてから飲む」では、すでに脱水が始まっているサイン。
体の中では、自分で気づくよりも早く水分が減っていきます。
だからこそ、“渇く前”から計画的に飲むことが大切です。
運動の”前”から始めるのがコツ
水分補給は“運動前”から意識することがとても大切です。
おすすめは、運動の30分ほど前にコップ1〜2杯(約250〜500ml)を飲んでおくこと。
あらかじめ体を”うるおった状態”にしておくと、運動中の脱水をぐっと防ぎやすくなります。
特に、朝いちばんの運動は要注意。
寝ている間にもコップ1杯分ほどの水分が失われているので、起きてすぐ動く日は、朝の1杯を忘れずに飲んでおきましょう。
運動の”中”はこまめに、少しずつ
運動中は、一気に飲むのではなく、こまめに分けて飲むのが鉄則です。
日本スポーツ協会では、運動時の水分補給の目安をこう示しています。
・タイミング…15~20分おき(1時間に2~4回)
・1回の量…コップ1杯程度(200~250ml)
・温度…少し冷たい5~15℃が、体を冷やし吸収もスムーズ
冷たすぎる飲み物を一気に飲むとお腹に負担がかかるので、”少し冷たい”くらいがちょうどいいですよ。
また、一度にゴクゴク飲んでも体は使いきれません。少量を、回数を分けてが基本です。

何を飲めばいい?水とスポーツドリンクの使い分け
「運動のときは、必ずスポーツドリンクがいいの?」というと、運動の強さと時間によります。
・軽い運動・1時間以内…水や麦茶(むぎちゃ)で十分
・たっぷり汗をかく運動・1時間以上…塩分と糖分入りがおすすめ

汗をたくさんかくと、水分だけでなく“塩分(ナトリウム)”も失われます。
水だけを大量に飲むと、体内の塩分がうすまり、かえって体調をくずすことも。
そんなときの目安はこちら。
・塩分濃度…0.1~0.2%
・糖質濃度…4~8%程度
スポーツドリンクは、ちょうどこの目安にあたります。
ちなみに、スポーツドリンクは家でも手軽に作れます。
(簡単スポーツドリンクの作り方)
・水…1リットル
・砂糖…大さじ4(約40g)
・塩…小さじ1/3(約2g)
これで塩分・糖分ともに、先ほどの目安どおりになります。
お好みでレモン果汁を少し加えると、飲みやすくなりますよ。
買い置きがない日にも便利です。

こんなサインは”水分不足”の合図
運動中、次のようなサインが出たら、体が水分を欲している合図かもしれません。
・たくさん汗をかいた後なのに、汗が止まってきた
・足がつる、力が入りにくい
・めまい・立ちくらみ・頭痛
こうしたサインを感じたら、無理をせず、涼しい場所で休んで水分・塩分をとりましょう。
暑さの厳しい日や体調がすぐれない日は、運動の時間帯を朝や夕方にずらすのも賢い選択です。
“がんばりすぎない”のも、夏の運動を続けるための大事なコツです。
運動の”後”は、失った分を取り戻す
運動が終わったら、汗で出ていった水分をしっかり補うことも忘れずに。
いちばん確実なのは、運動の前後で体重をはかること。
減った体重は、ほとんどが失われた水分です。その分を目安に、少しずつ補給していきましょう。
運動前後の体重の減りを2%以内に抑えるのが、上手な水分補給の目標です。
このとき、水分と一緒に塩分や軽い食事もとれると、体への水分の戻りがよりスムーズに。
運動後に、おにぎりとお味噌汁、果物などを組み合わせるのもおすすめです。

まとめ
夏の運動を気持ちよく続けるコツは、“前・中・後”の3回を意識すること。
むずかしく考えず、まずは運動前のコップ1杯から始めてみましょう。
のどが渇く前に、こまめに、少しずつ。
上手に水分をとって、この夏も元気に体を動かしていきましょう!
【参考】
・公益財団法人 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」
・環境省「熱中症環境保健マニュアル」
・大塚製薬「水分補給・スポーツと栄養」