この記事の著者

【氏名】杉本愛季(管理栄養士、公認スポーツ栄養士)
【経歴】
2012年〜2016年 スポーツ会社 管理栄養士として勤務
2016年〜2021年 大学助手(栄養学科)として勤務
2021年〜2024年 病院管理栄養士として勤務
2024年~ フリーランスとして活動
【資格・免許】
2014年 5月 管理栄養士免許 取得
2016年 5月 健康運動指導士資格 取得
2021年 10月 公認スポーツ栄養士資格 取得
「明日からランニング頑張ろう!」 「おやつは我慢しよう!」
そう決めたのに、次の日には忘れてゴロゴロしながらおやつを食べている… なんて経験はありませんか?
そんな時って、「私ってめちゃくちゃ意志が弱いな…」「いつも三日坊主で嫌になるな…」と落ち込みがちになってしまうかもしれません。
ですが、ちょっと待ってください!
実は、ダイエットが続かないのは あなたの意志が弱いわけではなく、 とても強力な人間の本能が関係している可能性があります。
今回は、この人間の本能とは一体なんなのかを説明しつつ、 それに打ち勝つポイントを3つ紹介していきます。
この仕組みを知っておくだけでも、 三日坊主になりそうな時の打開策になるかもしれないので、 ぜひ最後まで読んでみてください!
人間の本能:脳は、基本的に「今のまま」が大好き!
私たちの脳には、ある不思議なクセがあります。
それは、良いか悪いかは別として、
「今の状態をキープしようとする」こと。
これを専門的には 「コンフォートゾーン(安心できる場所)」と呼びます。
たとえあなたが
「今の習慣を変えたい!」と思っていても、
実は脳にとって、今のあなたの体型や食事の習慣は
「一番慣れ親しんだ安心な場所」
なんです。
脳にある「3つのエリア」
この考え方は、ミシガン大学のビジネススクール教授
ノエル・M・ティシー氏らが広めた
人の成長領域を表すモデルです。
このモデルでは、私たちの心の状態は 3つのエリアに分けて考えられています。
(1) コンフォートゾーン(安心エリア)
不安もなく、ドキドキもしない。 いつもと同じ、慣れ親しんだ行動をしている状態。
一番楽で安心ですが、 ここにずっといると成長や変化が少ないゾーンです。
(2) ラーニングゾーン(ちょっと頑張るエリア)
「よし、やってみよう!」と 少し新しいことに挑戦している状態。
緊張感や負荷も伴いますが、 人が最も成長し、習慣が身につきやすいゾーンです。
(3) パニックゾーン(ストレスエリア)
ストレスが強すぎて、 脳がパニックを起こしている状態。
「毎日1時間走る!」 「お菓子は一切食べない!」 など、無理な目標を立てると陥りやすいゾーンです。

このゾーンをうまく使いこなすことで、
「継続できる習慣」
につなげることができます。
大切なのは、いきなりパニックゾーンに飛び込まず、一歩だけ外側のラーニングゾーンに居続けること。
そして面白いのが、この「ちょっと頑張る」を続けていると、 脳がこの状態に慣れて、そこが新しい「コンフォートゾーン(安心エリア)」に 書き変わっていくという点です。
最初は「頑張ってやっていること」が、いつの間にか
「やらないと気持ち悪い、当たり前の習慣」
に変わっていきます。
この安心エリアの拡大こそが、 三日坊主にならないための一番のポイントです。
実は「今の体格」も脳の安心エリア!?
ここで、ちょっと意外な話をします。
実は、行動だけではなくあなたの「今の体格」そのものも脳にとっては安心エリアに含まれています。
脳にとって今の体格は、 長年付き合ってきた「なじみのある身体」。
たとえ自分では「痩せたい!」と思っていても、
脳は「この身体が一番安全なんだ!」
と思い込んで守ろうとします。
そのため、急に体重を落とそうとすると、 脳は「緊急事態だ!」と判断し、体や行動を元に戻そうとします。
これが、三日坊主やリバウンドが起こる一つの要因です。
大切なのは、脳をびっくりさせないように 「新しい自分」を少しずつ慣れさせていくこと。

脳を味方につけてコンフォートゾーンを抜け出す3つのポイント
ここからは、脳を味方につけて、 理想の自分を「当たり前」にするための 3つのポイントをお伝えします。
(1)「理想の自分ならどうする?」と聞く習慣をつける
「ダイエット中だから我慢しなきゃ」と考えると、 脳はストレスを感じて反発します。
そうではなく、
「すでに理想の体型になった私なら、どっちを選ぶかな?」
と考えてみてください。
これを繰り返すことで、 脳は「こっちを選ぶのが新しい安心エリアなんだ」と 少しずつ認識し始めます。

(2) まずは「1個だけ我慢」から始める
いきなり「おやつ禁止!」は パニックゾーン行きです。
まずは
「チョコを1個だけ我慢する」
「大盛りを普通盛りにする」
など、小さな変化から始めましょう。

(3) 今日できなかったら「明日やる」でOK!
ここが一番大切かもしれません。
完璧主義は、ダイエットの最大の敵。 できなかった日があっても、 自分を責める必要はありません。
「今日はできなかったけど、明日やろう」
それくらいで大丈夫です。

最後に:「完璧にやらない」が一番大事
ダイエットは、気合を入れて頑張るものではありません。
完璧を目指さず、
できることを、できる範囲で、コツコツ続けていく。
それが、半年後・1年後の大きな変化につながります。
ぜひ今日できることを、ゆるーくやってみてください。
【参考文献】
- Noel M. Tichy, The Cycle of Leadership, Harper Business (2002)
- ダニエル・カーネマン(著)、村井章子(訳)『ファスト&スロー』早川書房(2014)
- ジェームズ・クリアー(著)、牛津信三(訳)『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』パンローリング(2019)
