この記事の著者

【氏名】青山愛果(管理栄養士)

【経歴】
2013年~2022年 病院管理栄養士として勤務
2024年 管理栄養士としてフリーランスとして活動

【資格・免許】
2011年3月 栄養士免許 取得
2013年5月 管理栄養士免許 取得

お通じが硬かったり出にくい状態が続いて、お腹の不快感や肌荒れに悩まされたことはありませんか?

長く続く便秘は、食生活を見直すことで改善することもあります。

今回は、便秘対策における食事のポイントを紹介します。

食事で便秘対策!4つのポイント

食べた食事によってお通じが硬くなったという経験はありませんか?

便の1/3は食べ物の残りかすで出来ており、食べたものによって便の状態は変化します。

便秘を改善するには、食生活の見直しが欠かせません。

良い状態の便をつくるためには、以下の4つのポイントを意識しましょう。

  1. 極端に食事量を減らさない
  2. 食物繊維不足を解消する
  3. 水分をこまめに摂る
  4. 洋食よりも和食を選ぶ

それぞれの詳しい内容を紹介します。

1.極端に食事量を減らさない

健康に気を付けて食べ過ぎないことは大切ですが、極端なダイエットは要注意です。

食事を減らしすぎると、便を作る材料が足りなくなってしまい、便秘の原因になります。

食事の代わりにお菓子で済ませているという場合も、食生活を見直しましょう。

主食・主菜・副菜を揃えた食事を1日3回とり、食べる量は腹八分目にすることが理想です。

どうしても食事を用意する余裕が無いという場合は、おにぎりやサンドイッチなどの手軽な食品から取り入れてみてはいかがでしょうか?

慣れてきたら、野菜を入れた汁物をつけるなど少しずつ揃える品目を増やしていきましょう。

2.食物繊維不足を解消する

食物繊維は水分を吸収して便のかさを増やす働きがあり、便秘改善に役立つ栄養素です。

便秘症で食物繊維が不足している場合、十分量の食物繊維を補うことで便通改善の効果が期待できます。

令和4年の国民健康・栄養調査の結果、20歳以上の食物繊維摂取量は1日あたり平均18.5gでした。

日本人の食事摂取基準2025年版では、健康のために1日25g以上の食物繊維を摂ることが望ましいと記載されています。

ほとんどの日本人は食物繊維量が不足していると考えられるため、野菜・きのこ・海藻など食物繊維の多い食品を意識的に摂ることが大切です。

食物繊維を多く含む食品については下記のコラムをチェックしてみてください。

3.水分をこまめに摂る

便は70~80%が水分で出来ているため、便秘予防のためには水分を十分摂ることが大切です。

便をつくる大腸では、水分を再吸収することで便のやわらかさを調整しています。

便秘の場合、大腸に長く便が溜まってしまい水分が吸収されすぎて硬くなってしまうのです。

水分が十分に摂れていない場合、便に含まれる水分量も減ってしまい便が硬くなってしまいます。

食物繊維を25g以上摂った上で平均2.1リットルの十分な水分を摂ったグループは、平均1.1リットルの通常の水分摂取量のグループと比べて排便回数が増えたという研究結果もあります。

いつもより水分を1リットル多く摂ることは大変かもしれません。

毎日継続するコツは、「こまめに少しずつ」です。

就寝前、起床後、食後、入浴の前後、トイレに行った後など日常生活の動きが切り替わるタイミングで水を飲むことをおすすめします。

1リットルのペットボトルや水筒を用意して、1日で飲み切るようにする方法も良いでしょう。

4.洋食よりも和食を選ぶ

日本人の慢性便秘症に対し、小麦よりも米や豆類由来の食物繊維が多く含まれる食事が効果的だったという研究結果があります。

和食に用いられる大豆製品の中でも、おからと納豆は特に食物繊維が豊富です。

また、味噌やぬか漬けに含まれる乳酸菌は腸内細菌のバランスを整える働きがあります。

乳酸菌と食物繊維の両者を取り入れることで、「シンバイオティクス」となり整腸作用の効果が高まるのです。

普段は洋食や中華料理が多い方は、和食を選ぶ機会を増やしてみてはいかがでしょうか?

便秘に悩む方におすすめの3つの食品

便通異常症診療ガイドライン2023では、自然な排便が増える効果が期待できる食品として、キウイフルーツ、プルーン、サイリウム(オオバコ)が挙げられています。

それぞれの食品の詳細をお伝えします。

1.キウイフルーツ

年中手に入り、果物の中でも比較的安価なキウイフルーツ。

手軽に取り入れられて、便秘改善が期待できるのは嬉しいですよね。

健康な人を対象にした研究で、キウイフルーツをとることで排便回数が増え、便の硬さが改善したという結果が出ました。

キウイフルーツは果肉の色によって含まれる栄養素の特徴が異なります。

1個あたりの食物繊維の含有量は、果肉が緑色のものは2.6g、黄色いものは1.4gであり、1g以上の差があります。

便秘改善を目的にキウイフルーツを取り入れたい場合は、グリーンキウイを選びましょう。

2.プルーン

プルーンは、ドライフルーツやエキスなど幅広い形で取り入れられることが魅力です。

日本人の慢性便秘症患者に対する研究で、プルーンを摂取したグループは便の硬さが改善されたという結果があります。

プルーンエキスは水に溶かして取り入れることで、水分補給にもなり一石二鳥です。

3.サイリウム

サイリウムは、オオバコ科の植物の種皮を粉末にしたものです。

90%が食物繊維で出来ており糖質がゼロであることから、糖質オフレシピの材料としても人気があります。

「コレステロールが高めで気になる方」「おなかの調子が気になる方」の改善に役立つとして、特定保健用食品の関与成分としても注目されており、手軽に取り入れられることも魅力です。

まとめ

便秘を改善するためには、無理なダイエットは禁物です。

ダイエット中でも主食を抜いたりせず、腹八分目で召し上がることをおすすめします。

腸内環境を整える「シンバイオティクス」が取り入れやすい和食は、便秘改善にぴったりです。

手軽に取り入れられるキウイフルーツ、プルーン、サイリウムを試してみることも1つの方法ですよ。

参考資料

令和4年 国民健康・栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001296359.pdf

便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症
https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00812.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b

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