この記事の著者

【氏名】青山愛果(管理栄養士)

【経歴】
2013年~2022年 病院管理栄養士として勤務
2024年 管理栄養士としてフリーランスとして活動

【資格・免許】
2011年3月 栄養士免許 取得
2013年5月 管理栄養士免許 取得

中性脂肪を改善するためには「脂質を摂り過ぎない方が良い」というイメージはありませんか?

実は、中性脂肪を下げるポイントは脂質以外にあります。

この記事では、中性脂肪を改善するための食事についてお伝えします。

中性脂肪が高いとどうなるの?

中性脂肪が高い状態は、動脈硬化の直接的な原因にはならないものの、肥満の原因になります。

肥満になることで悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが増え、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールが減るリスクがあるのです。

中性脂肪が高い状態は、痛みなどの自覚症状が無く、採血検査をしなければ気づかないことがほとんどです。

健康診断などで高めの値であることが分かった時点で、生活習慣を見直すことをおすすめします。

中性脂肪が高くなる原因

中性脂肪を上昇させる直接的な原因は糖質とアルコールの摂りすぎです。

下記のような習慣にひとつでも当てはまる方は、糖質を摂りすぎている可能性があります。

  • ご飯や麺などの主食を大盛にしている
  • カレーライスや牛丼などの1品料理をよく食べる
  • 糖類の入ったジュースやスポーツドリンクを飲んでいる
  • チョコレートやグミなどを何気なく食べている
  • お菓子や菓子パン、アイスを間食や夜食にとることが多い
  • お酒の中では日本酒やビールを選ぶことが多い

ご飯、パン、麺などの主食を適量とることは大切ですが、大盛にすると糖質オーバーの原因になります。

丼やカレーライスはもともとご飯の量が多くなっていることもあり、気づかないうちに食べ過ぎてしまうことも。

特に気を付けたいポイントは、糖類の多いジュースやお菓子、菓子パン、アイスを控えることです。

ブドウ糖、果糖、ショ糖(砂糖)などの糖類は急激に血糖値を上げてしまいます。

余分な糖は体内で中性脂肪に変換され、体脂肪として蓄積してしまうのです。

ジュースのパッケージ裏にある原材料表示を確認し、果糖ブドウ糖液糖、砂糖などの記載があるものは控えましょう。

また、アルコールの過剰摂取は中性脂肪を上げる原因になりますが、そのなかでもビールや日本酒は糖質を多く含みます。

それぞれの糖質量は、ビール中瓶1本(500ml)は15g、日本酒1合(180ml)は9gです。

アルコールと糖質の両方を多く含むため、飲み過ぎには注意しましょう。

中性脂肪を改善するための食事のポイント

中性脂肪を下げるためにはウォーキングなどの運動も大切ですが、食生活の見直しが欠かせません。

肥満の方は食事量全体が多すぎる可能性が高いため、腹八分目までに抑えるようにしましょう。

中性脂肪が気になる方は、下記のポイント4つに取り組むことをおすすめします。

  1. 水分補給は無糖の水やお茶にする
  2. 菓子類を食べる頻度を減らす
  3. 飲酒の適量を知る
  4. 青魚を取り入れる

1.水分補給は無糖の水やお茶にする

脱水を防ごうと考えて、スポーツドリンクをたくさん飲んでいませんか?

喉が渇いているとゴクゴク飲み過ぎてしまうこともありますよね。

その他にも、糖類の入ったジュース類を普段から飲む方は要注意です。

飲み物は間食した感覚を得られず、気づかないうちに糖類を摂りすぎてしまいます。

普段の水分補給は水や麦茶など無糖の飲み物にしましょう。

2.菓子類を食べる頻度を減らす

食事を見直す際、初めに取り組んでいただきたいことが「菓子類を食べる頻度を減らすこと」です。

ダイエット中に主食を抜く方もいらっしゃいますが、主食を減らしすぎると満腹感が得られず間食したくなる原因になります。

菓子類は血糖値を上げやすい糖類が多く、ビタミンやミネラルなど他の栄養素をほとんど含みません。

特にチョコレートやグミなどの小さいサイズのお菓子を、なんとなく食べてしまうことはありませんか?

菓子類に手が伸びそうになった時は、食べる前に「本当に食べたい?」と自分に問いかけることをおすすめします。

どうしても食べたい時に大切に味わうようにして、何気なく食べてしまう習慣を見直しましょう。

菓子類は目につかないところに置いたり、買い置きしないことも1つの方法です。

3.飲酒の適量を知る

アルコールを摂りすぎないことは中性脂肪対策においても肝臓や膵臓の病気から守る上でも重要です。

お酒からの糖質量を抑えるためには、ウイスキーや焼酎を選ぶことをおすすめします。

飲酒量の適量については下記のコラムを参照ください。

4.青魚を取り入れる

魚に含まれるEPAやDHAを代表とするn-3系脂肪酸は中性脂肪を下げる働きがあります。

EPAとDHAは、魚の中でもサバやブリ、アジなどの青魚に多く含まれており、積極的に取り入れることをおすすめします。

EPAやDHAを効果的に取り入れたい方は、刺身を選ぶと良いでしょう。

新鮮な刺身はEPAやDHAを損なわずに摂ることができ、調理が不要な手軽さも魅力です。

一方で、アジフライなどの揚げ物はEPAやDHAが損なわれてしまいます。

加熱した魚を選ぶ際は、焼き魚や煮魚を選ぶと良いでしょう。

まとめ

中性脂肪対策において、まずはジュースやお菓子、お酒などの嗜好品を見直すことが大切です。

好きなものを我慢したくないという方は、青魚を取り入れることから始めてみませんか?

青魚に多く含まれるEPAやDHAを摂ることも、中性脂肪を下げる効果が期待できます。

無理なく続けられる方法を見つけて、取り組んでみてくださいね。

参考資料

日本人の食事摂取基準2025年版 脂質異常症
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316476.pdf

日本食品標準成分表2020年版(八訂)

全国健康保険協会 【脂質異常症】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat450/sb4502/p016/

日本脂質栄養学会 魚の加熱調理では、DHAやEPAがどれくらい減るか?
https://jsln.umin.jp/committee/omega2.html