この記事の著者

【氏名】杉本愛季(管理栄養士、公認スポーツ栄養士)
【経歴】
2012年〜2016年 スポーツ会社 管理栄養士として勤務
2016年〜2021年 大学助手(栄養学科)として勤務
2021年〜2024年 病院管理栄養士として勤務
2024年~ フリーランスとして活動
【資格・免許】
2014年 5月 管理栄養士免許 取得
2016年 5月 健康運動指導士資格 取得
2021年 10月 公認スポーツ栄養士資格 取得
徐々に暖かくなり、ウォーキングにぴったりな季節になってきました。
そろそろ運動を始めようかな?と思いつつ、重い腰がなかなか上がらない…という方も多いんじゃないでしょうか?
動き出すまではなかなかハードルが高いですが、実は歩くことは、いい運動になるのと同時に、メンタル面を整えてくれる効果も期待できます。
今回は、”歩く”ということにフォーカスを当てて、
あなたがすぐにでも”歩きたい!”とウズウズするような知識をお届けします。
歩く時間を”ひらめき”時間に
世界の起業家たちが日常に”歩くこと”を取り入れているのは最近よく聞く話だと思います。
Appleのスティーブ・ジョブズやMetaのマーク・ザッカーバーグなどは、あえて外を歩きながら話し合う「ウォーキング・ミーティング」を取り入れていました。
なぜ、わざわざ歩くのか?
実はこれ、2014年にスタンフォード大学が発表した驚きの研究があるんです。
研究チームは「座っている時」と「屋内または屋外で歩いている時」で、新しいアイデアを生み出すテスト(発散的思考テスト)を行いました。
その結果、歩いている最中の人は、座っている時に比べて、創造的な解決策を出す力が平均で60%も向上することが判明したのです。

面白いのは、景色が良くても悪くても、さらには室内で壁を見ながら歩いても、効果は同じだったということ。
つまり「足を動かす」という物理的なリズムそのものが、脳のフィルターを外し、凝り固まった思考を解きほぐしてくれるんです。
歩くことは、脳を「ひらめきモード」に切り替えるスイッチ。
そう思えば、いつもの道のりも贅沢な自分磨きの時間になりますね。
まずは「プラステン(+10)」!10分のパワー
歩くのがいいのは分かったけれど、どれくらい歩けばいいの?という質問にお答えします。
厚生労働省が今、お勧めしているのが
“プラステン(+10)”
“今より毎日10分だけ、多く体を動かそう”
という目標です。
「たった10分?」と思うかもしれませんが、実は「座る時間を10分減らして、歩く(または立つ)時間を増やす」だけで、健康寿命が延びるという驚きの研究があるんです。
日本人は世界一座っている時間が長いと言われています。
長時間座りっぱなしでいると、脚の筋肉が活動を止め、代謝がガクンと落ちてしまいます。
これが「血管の老化」や「生活習慣病」を招く大きな原因。
データによると、毎日プラス10分歩くだけで、生活習慣病の発症リスクが約4%、死亡リスクが約3%も低下することが分かっています。

「駅の階段を使うのに+2分」「あえて立って家事をするのに+3分」……。
その小さな積み重ねが健康寿命を伸ばすことに繋がります。
「第二の心臓」、ふくらはぎを意識しよう
歩くことでメンタルが整う最大の理由は、実は「足」に隠されています。
ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれているのをご存知ですか?
心臓から一番遠い足元へ行った血液は、重力に逆らって戻らなければなりません。
その時、ポンプのようにギュギュッと血液を押し戻してくれるのがふくらはぎの筋肉です。
さらに、この「右、左」という一定のリズム運動は、
脳内の幸せホルモン「セロトニン」の分泌を直接スイッチオンしてくれます。

せっかく歩くなら、この「幸せホルモン」を効率よく動かす姿勢を意識してみましょう!
- 目線は5メートル先へ: 少し遠くを眺めるだけで背筋が伸び、呼吸が深くなります。
- 後ろ足の指で「最後の一押し」: 親指の付け根で地面を蹴る感覚。これだけで、ふくらはぎのポンプが力強く作動します。
- 腕は後ろに引く: 肩甲骨が動くことで代謝が上がり、首や肩のコリもスッキリしやすくなります。
ヒールの日や荷物が重い時は、チョコチョコ歩きでもOK。
足を動かしているだけで、第二の心臓がしっかりと働いてくれます。
おすすめのタイミング
おすすめは断然、「朝」と「夕方」です。
朝の光を浴びて10分歩くとセロトニンが作られ、体内時計がリセットされます。
これが夜の安眠を誘うホルモンに変わるので、ぐっすり眠りたい方こそ朝の5分、ベランダでの足踏みから始めてみてください。
一日の疲れを家に持ち帰らないためには、夕方の帰宅時に少しでも歩くタイミングを作るのも手です。
「仕事モード」から「リラックスモード」へ、歩きながら気持ちを整えましょう。

ウォーキングを”頑張るもの”じゃなく”癒すもの”へ
歩くことは大変なことじゃなく、自分を癒してくれる最大のツールです!
だから、”やらなきゃ”と義務に思わなくて大丈夫。
静かに「一人でじっくり考えられる贅沢な時間」にしたり、仕事やお家で「疲れた後の気分転換」にしたり。
靴を履いて外に出たついでに、ちょっとだけ遠回りして帰る。
それくらいの小さな習慣から始めてみましょう。
【参考文献・引用元】
・歩行と創造性の研究(スタンフォード大学)
Oppezzo, M., & Schwartz, D. L. (2014). “Give your ideas some legs: The positive effect of walking on creative thinking.” Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition.
Stanford News (2014). “Stanford study finds walking improves creativity.”
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月公表)
・e-ヘルスネット(厚生労働省)「アクティブガイド -健康づくりのための身体活動指針-」
