この記事の著者

【氏名】青山愛果(管理栄養士)
【経歴】
2013年~2022年 病院管理栄養士として勤務
2024年 管理栄養士としてフリーランスとして活動
【資格・免許】
2011年3月 栄養士免許 取得
2013年5月 管理栄養士免許 取得
「最近、疲れがとれにくい」「少し動いただけで息が切れる」と感じることはありませんか?
もしかしたら、それは貧血による症状かもしれません。
貧血は月経のある女性に多くみられますが、更年期以降も油断は禁物です。
年を重ねるとともに食事のスタイルが変わり、気づかないうちに血液をつくる元となる栄養素が不足していることもあります。
今回は食事でできる貧血予防についてご紹介します。
更年期以降も貧血に注意したい理由
月経によって出血が多くなることで、女性は貧血になりやすいという特徴があります。
しかし、貧血の原因は出血だけではありません。
栄養素が足りないことで起こる貧血は、どの世代も注意が必要です。
更年期以降の女性は、食事スタイルの変化やストレスによる食事の偏りが出ることで、貧血対策に必要な栄養素が足りなくなることも。
貧血を予防して毎日を活き活きと過ごすために、次に紹介する栄養素を積極的に取り入れることをおすすめします。
貧血対策に役立つ栄養素
貧血を防ぐためには、鉄分、葉酸、ビタミンB12を十分取り入れることが大切です。
それぞれの栄養素と貧血との関わりや、豊富に含む食品を解説します。
1. 鉄分
「貧血には鉄分」というイメージを持つ方も多いでしょう。
鉄分は血液中の酸素を全身に運ぶ「ヘモグロビン」をつくる材料です。
鉄が不足するとヘモグロビンをつくる量も減ってしまい、「貧血」と呼ばれる状態になります。
鉄は摂った分を全て吸収することはできず、種類によって吸収率が異なります。
吸収率が高い「ヘム鉄」は肉や魚などの動物性の食品に多く含まれており、吸収率の低い「非ヘム鉄」は大豆製品や野菜に多く含まれています。
そのため、肉や魚を食べる量が減ってしまうと、鉄不足のリスクが上がってしまうのです。

肉や魚には、鉄の吸収を高める「動物性たんぱく質」も豊富に含まれているため、昼と夕は片手の平1つ分の肉や魚を食べると良いでしょう。
また、吸収率の低い非ヘム鉄も、コツコツ摂ることで鉄分チャージに役立ちますよ。
<鉄分を豊富に含む食品>
| 食品名 | 目安量 | 鉄含有量(mg) |
|---|---|---|
| あさり水煮缶 | 30g | 9.0 |
| 牛第3胃(センマイ) | 80g | 5.4 |
| 豚レバー | 40g | 5.2 |
| 生揚げ | 150g | 3.9 |
| がんもどき | 100g | 3.6 |
| 鶏レバー | 40g | 3.6 |
| 菜の花(和種) | 100g | 2.9 |
| 牛横隔膜(ハラミ・サガリ) | 80g | 2.6 |

あさりの水煮缶は、少量食べるだけで鉄分をチャージできる優秀な食材です。
生揚げ、がんもどきは手頃な価格で手に入るため、日常的な鉄分補給にぴったり。
センマイ、レバー、ハラミ、サガリは焼肉に行ったタイミングでぜひ召し上がってみてください。
菜の花は1月から3月にかけて旬を迎え、味も栄養価も高まります。
スーパーで見かけたらぜひ手に取ってみてくださいね。
上記の表を見て、「あれ?ひじきは無いの?」と思った方もいらっしゃるでしょう。
実は、ひじき自体の鉄分は特別多いわけではありません。
昔は干しひじきを鉄釜で作ることが多かったため、鉄分の多い食品として認知されてきました。
しかし、最近は鉄釜を使わずステンレス鍋で作られるひじきが増えたため、鉄分含有量が昔に比べると落ちているのです。
そこで、調理方法で鉄分をアップする手段として、鉄鍋や鉄の玉を使う方法もおすすめです。
鉄の調理器具から鉄分が少しずつ溶け出して、鉄分を補うことができますよ。

2. 葉酸
貧血対策として意外と知られていない重要な栄養素が「葉酸」です。
葉酸は、赤血球やDNAを作り出すサポートをしており、足りなくなると赤血球をうまくつくることができなくなってしまいます。
葉酸は幅広い食品に含まれているため、不足の心配が少ない栄養素ですが、アルコールを多量に飲んだ時は葉酸不足になりやすいためご注意ください。
葉酸を十分摂るのに最適な食品は、菜の花とほうれんそうです。
菜の花(和種)には1/2袋(100g)に340μgの葉酸を含んでおり、1日の葉酸摂取目安量の240μgを大きく上回ります。
また、ほうれんそうの葉酸含有量は、1/2袋(100g)あたり210μgであり、1日に摂りたい葉酸量の8割以上を補うことができますよ。
調理の際は、茹でると葉酸が流れ出てしまうため、「蒸す」または「炒める」調理方法がおすすめです。

3. ビタミンB12
葉酸とともに赤血球をつくるために必要な栄養素がビタミンB12です。
ビタミンB12は、植物性の食品にはほとんど含まれず、乳製品の含有量もごくわずか。
そのため、肉や魚を食べる量が少ない方はビタミンB12不足のリスクが高まります。
「たんぱく質源になるものは大豆製品がほとんど」という方は、肉や魚も取り入れてみることをおすすめします。
また、鉄分が多いことで知られているレバーは、ビタミンB12も豊富に含んでいます。
家庭で調理しづらい食品ですが、スーパーの総菜や外食で見かけた時は、ぜひ手に取ってみてください。

まとめ
ダイエットや生活習慣予防に関心を寄せていると、食事を「減らす」ことに意識が向きがちです。
必要な栄養素を食品から補う視点を持つと、毎日を活き活きと過ごすことに繋がるでしょう。
紹介した栄養素や食品を中心に、主食、主菜、副菜のそろった食事を取り入れてみてくださいね。
参考資料
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
日本人の食事摂取基準(2025年版)水溶性ビタミン
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316467.pdf
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~ 鉄
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-022
