この記事の著者

【氏名】杉本愛季(管理栄養士、公認スポーツ栄養士)
【経歴】
2012年〜2016年 スポーツ会社 管理栄養士として勤務
2016年〜2021年 大学助手(栄養学科)として勤務
2021年〜2024年 病院管理栄養士として勤務
2024年~ フリーランスとして活動
【資格・免許】
2014年 5月 管理栄養士免許 取得
2016年 5月 健康運動指導士資格 取得
2021年 10月 公認スポーツ栄養士資格 取得
今年こそは筋肉を付けてかっこいい身体になりたい、キレイで引き締まった身体になりたい…
と筋トレや運動をしている人も多いと思います。
身体を変えたい、と運動を頑張っている人が次に整えたいのは…
”食事”じゃないでしょうか。
今回は、普段トレーニングを行っている人が、いつ・どんな食事をすればより効率よく筋肉をつけるために効果的なのか、最新の研究結果も交えながら解説していきます。
”筋トレ後30分以内”が一番のゴールデンタイムなのか?
栄養補給のゴールデンタイムと聞くと、”筋トレ後30分以内”と思いつく方が多いんじゃないでしょうか。
実際に過去の研究でも、トレーニング直後にたんぱく質を摂取した方が、筋肉の回復や筋肥大に効果的な可能性が示されたものもあります。
2001年:高齢男性13人への実験(Esmarck et al., 2001)※1
対象:高齢男性13人(平均約74歳)
方法:
12週間の筋力トレーニングを実施し、以下の2グループに分け、それぞれ飲料を摂取してもらう。
グループ(1)
トレーニング”直後”に
たんぱく質+糖質+脂質の飲料を摂取
グループ(2)
トレーニング”2時間後”に
同じ飲料を摂取
12週間終了後に筋肉量と筋力の変化を測定。
結果:
*トレーニング直後に摂取したグループでは筋肉量と筋力が有意に増加
*2時間後に摂取したグループでは筋肥大がほとんど見られなかった

この研究結果を含めて、その他にもいくつかの研究があって、
”筋トレ後30分以内が筋肉を作るゴールデンタイム”
というのが一般的に言われるようになりました。
じゃあ、30分以内じゃないと栄養補給しても筋肉には効かないのか?効果がないのか?
いやいや、諦めるのはまだ早い、というのを最新の実験で示しています。
2024年:筋力トレーニングを習慣的に行っている男性40人への実験(Frontiers in Nutrition,2024)※2
対象:筋力トレーニングを習慣的に行っている男性40人(最終解析31人)
方法:
8週間の筋力トレーニングを行い、1日あたり体重1kgあたり約2gの高タンパク食を摂取。
摂取タイミングのみを以下の通り変更。
グループ(1)
トレーニング直前・直後にたんぱく質を摂取
グループ(2)
トレーニングの3時間前・3時間後に摂取
8週間終了後に体組成、筋力、生化学マーカーを評価
結果
*両グループともに筋肉量・筋力は有意に増加
*タイミングによる差は見られなかった

なんとこの研究では、摂取の時間に関わらず、筋肉量・筋力が増えているという結果が出ました。
この研究の対象者が”筋トレを習慣的に行っている男性”ということも考慮に入れると、
普段から運動をしている方々は、摂取タイミングに加えて
”1日のたんぱく質量をしっかり確保することが大切”
ということが一つ言えるんじゃないでしょうか。
皆さんは日々、たんぱく質をしっかり摂ることができていますか?
せっかくなのでこの機会に合わせて振り返ってみましょう!
1日にたんぱく質はどれくらい摂ればいいの?
ここからは、実際に1日にたんぱく質をどれくらい摂ればいいのかを考えていきましょう。
ここでは、厚生労働省で出している、健康維持を目的としたたんぱく質の必要量を掲載しておきます。※3
自分の活動量に当てはめて考えてみてください。

※腎機能が低下しているなど健康状態に不安がある方はかかりつけの医師に相談しましょう。
注意:たんぱく質の上限は体重1kgあたり2.0gまで!
筋肉を増やしたいと思うと、
「とにかくたくさんたんぱく質を摂ればいい!」と考えてしまいがちです。
しかし、実は研究ではたんぱく質を増やせば増やすほど筋肉は無限に増えるわけではないことがわかっています。
上限は、”体重1kgあたり2.0g”。
例:体重50kgの場合
50kg×2.0g=100g
→たんぱく質量の上限は100g
それ以上摂取しても、筋肉量の増加がさらに大きくなる明確な効果はあまりみられなかったとされています。
そして摂りすぎで逆に注意したいのが”腎機能”への影響です。
たんぱく質を摂りすぎると、腎臓にも負担がかかりやすいということを抑えておきましょう。
腎臓は、たんぱく質が体で使われた後の不要な成分の処理をしてくれています。
つまり、たんぱく質が多ければ多いほど、体の中で処理しなければならない老廃物も増え、その分腎臓もフル稼働しなくてはいけません。
健康な人であればすぐに問題になることは少ないですが、必要以上にたくさん摂り続けることは身体に優しいとは言えません。
筋肉のためにも、健康のためにも、たんぱく質は体重1kgあたり2.0gを上限の目安として”適量”を意識することが大切です。

たんぱく質の上手な摂り方
最後に、たんぱく質の上手な摂り方をお伝えします。
たんぱく質の1食あたりの一つの目安は20g程度と考えるといいと思います。
おすすめの食べ方は、
”肉や魚などのメイン+もう1品” です。
この、”+もう1品”が大切です。
以下の表を見てわかるように、肉や魚の一般的なメイン1品だけだと、なかなか1食20g以上を達成することができません。※4

そこに+もう1品、たんぱく質を含むものをプラスワンするのがおすすめです。
以下の表のようなものがおすすめです。

最後に
筋肉を作るために大切なことは、毎日の食事でしっかりたんぱく質を摂ることです。
自分がしっかりたんぱく質を摂れているかを振り返りながら、
摂れていなかった人は「メイン+もう1品」を意識して、
無理なくコツコツボディメイクしていきましょう!
(参考)
※1 Esmarck B, et al. Effect of timing of protein intake on muscle hypertrophy and strength in elderly men. American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism, 2001.
※2 Areta JL, et al.(※Frontiers in Nutrition掲載論文) Timing matters? The effects of two different timing of high protein diets on body composition, muscular performance, and biochemical markers in resistance-trained males. Frontiers in Nutrition, 2024.
※3 厚生労働省パンフレット「食べて元気にフレイル予防」
※4 あじこらぼ「筋肉をつくる本」
