この記事の著者

【氏名】伊藤たえ(脳神経外科医)

【経歴】
2004年3月 浜松医科大学医学部卒業
2004年4月 浜松医科大学付属病院初期研修
2006年4月 浜松医科大学脳神経外科入局
2013年7月 河北総合病院 脳神経外科 勤務
2016年9月 山田記念病院 脳神経外科 勤務
2019年4月 菅原脳神経外科クリニック 勤務
2019年10月 医療法人社団赤坂パークビル脳神経外科
菅原クリニック東京脳ドック 院長

【専門】
日本脳神経外科専門医  日本脳卒中学会専門医

【資格・免許】
医師免許

皆さんは、日々の食事や生活習慣に気を配り、ご自身の健康を守っていらっしゃることと思います。

そんな皆さんに、ぜひ知っておいていただきたい栄養素があります。

それは、私たちの健康に深く関わっているミネラル、「亜鉛」です。

体内でたった2gほどしか存在しないのに、300種類以上の酵素の働きを助け、細胞が新しく生まれ変わるのを助けています。

亜鉛は体内では作ることができないため、食事からしっかり摂る必要があります。

「亜鉛不足」と聞くと、特別な病気のように感じる方もいるかもしれません。

しかし、実は現代人において非常に身近な問題であり、「なんとなく不調」の原因となっている可能性もあるのです。

今回は、亜鉛の重要性から、不足した場合の具体的なサイン、そして今日からできる簡単な対処法まで、詳しく解説していきます。

こんなサインは「亜鉛不足」かも?見逃せない主な症状

亜鉛は、細胞の成長、免疫反応、味覚の維持、ホルモンの合成・分泌など、さまざまな働きにかかわっています。

そのため、不足すると全身に様々な不調が現れます。

1. 肌トラブル・髪の悩み

亜鉛は皮膚や髪、爪の材料になる「たんぱく質」を作るうえで欠かせないミネラルです。

不足すると、

  • 肌荒れ・ニキビが治りにくい
  • 乾燥、炎症が続く
  • 髪のパサつき・抜け毛
  • 爪が割れやすい

といった「美容面」での変化が現れやすくなります。

特に20〜40代の女性は仕事・家事・育児などでストレスも多く、生活が不規則になりやすいため、亜鉛不足が表面化しやすい世代です。

2. 味覚の低下

「味が薄く感じる」「濃い味を好むようになってきた」など味覚の低下も、亜鉛不足のサインです。

味覚を正常に保つ細胞は、亜鉛の助けを必要としています。

そのため、亜鉛不足で味覚障害がおこるのです

3. 疲れやすい・だるい

亜鉛は免疫細胞の働きを支え、エネルギー代謝にも関わります。

不足すると疲労感が抜けにくく、風邪をひきやすくなることもあります。

4. 月経に伴う不調が強くなることも

亜鉛はホルモンバランスにも影響します。

月経前のイライラや頭痛、だるさが強くなる一因になる場合もあり、女性では特に注意が必要です。

なぜ亜鉛不足になるの?(原因)

現代の生活環境では、気づかないうちに亜鉛を「摂りにくい」「失いやすい」状況にあります。

主な原因を理解し、日々の生活で意識することが大切です。

1. 食生活の偏り

亜鉛は牡蠣・肉・魚・豆類に多く含まれますが、

  • さっぱり系の食事
  • 野菜中心の食生活
  • ダイエットによる食事制限

が続くと不足しやすくなります。

2. 吸収を妨げる食品

亜鉛は「フィチン酸(玄米・未精製穀物)」により吸収が下がります。

健康志向で玄米食を続けている人は意外と不足しやすい傾向があります。

また、加工食品に多く含まれる食品添加物が、亜鉛と結合し、体外への排出を促してしまうことがあります。

3. ストレス・睡眠不足

ストレスが続くと、体内で亜鉛の消耗が早くなります。

忙しい現代女性では、これが亜鉛不足の原因になっていることもあります。

4. アルコールの飲み過ぎ

アルコールを代謝する際にも亜鉛が使われるため、お酒をよく飲む人は注意が必要です。

今日からできる!亜鉛不足の賢い「対処法」

亜鉛不足の解消は、正しい知識に基づいた日々の食事と生活習慣の改善が鍵となります。

食事でできる亜鉛対策

亜鉛摂取の基本は「食事」からです。

亜鉛を豊富に含む食材を、意識して献立に取り入れることから始めましょう。

亜鉛が豊富な食品

  • 牡蠣(ダントツ)
  • 牛肉・豚レバー・鶏もも肉
  • カツオ、サバ、イワシなどの魚
  • 納豆、豆腐
  • チーズ、卵、ナッツ類

おすすめの食べ方

  • 牡蠣入りのクラムチャウダー
  • 牛肉と野菜の炒め物
  • 納豆+卵の“完全栄養”コンビ
  • アーモンドをおやつに少しだけ

動物性たんぱく質と一緒に食べると吸収が上がるので、主菜に肉・魚・卵をうまく組み合わせましょう。

サプリメントを賢く活用する

食事だけでは不足が心配な方、特にストレスが多い方、アルコール摂取量が多い方、胃腸の調子が優れない方は、サプリメントの利用も有効な選択肢です。

しかし、亜鉛は摂りすぎると、銅などの他のミネラルの吸収を妨げるなど、過剰症のリスクもあります。

サプリメントを始める際は、必ず推奨量を守り、できれば医師や薬剤師に相談して、ご自身の状態に合った量を確認しましょう。

亜鉛を浪費しない生活習慣

原因で挙げたように、ストレスやアルコールは亜鉛の浪費を招きます。

  • 飲酒量を控える
  • 質の高い睡眠を確保する
  • 適度な運動でストレスを発散する

これら生活習慣の改善は、亜鉛の浪費を防ぎ、体内の亜鉛を有効活用するために非常に重要です。

おわりに

亜鉛は私たちの健康に欠かせない重要なミネラルです。

気づかないうちに不足してしまうことも多いため、日頃から意識して取り入れる必要があります。

特に、味覚の異常や、皮膚や肌のトラブル、免疫力の低下などの症状を感じるようでしたら、亜鉛不足を疑ってみてください。