この記事の著者

【氏名】青山愛果(管理栄養士)

【経歴】
2013年~2022年 病院管理栄養士として勤務
2024年 管理栄養士としてフリーランスとして活動

【資格・免許】
2011年3月 栄養士免許 取得
2013年5月 管理栄養士免許 取得

暑い日が続くと、心配なのが夏バテです。

今回は、暑さに負けず、元気に過ごすための食事について紹介します。

夏バテを防ぐ食事のポイント

夏バテを防ぐためには、良質な睡眠をとることや、適切な温度の冷房を使うこと以外にも、食事が大切です。

夏はさっぱりしたものが欲しくなり、そうめんなどの冷やし麺を食べる機会が増えがち。

実は、夏に多くなる「冷たいもの」や「麺類に偏った食事」が夏バテになりやすい食事パターンです。

食欲が落ちている時こそ、「足りない栄養を補う」ための食事を意識しましょう。 以下の3つのポイントを食事に取り入れることをおすすめします。

  1. 冷たいものの食べ過ぎに気を付ける
  2. 食欲を促す食品を取り入れる
  3. 代謝を助けるビタミンを取り入れる

それぞれの理由やおすすめの食品を紹介します。

1. 冷たいものの食べ過ぎに気を付ける

夏にアイスクリームを食べ過ぎて、お腹を壊してしまったという経験はありませんか?

暑い季節は、かき氷やアイスクリームなどの冷たいものを食べたくなる季節です。

これらの食品は体のほてりをとってくれる一方で、必要以上に体を冷やしてしまう原因にもなります。

また、屋内はクーラーを効かせていることが多く、ショッピングモールや飲食店は寒く感じることも。

冷房の効いた部屋で冷たいものを食べることも、体の冷やしすぎになります。

暑い日に冷たいもので凉をとるのも良いですが、食べ過ぎや冷えた屋内での冷たい食事にはご注意ください。

2. 食欲を促す食品を取り入れる

食欲が落ちてしまった時は、ご自身の食べやすいもの以外にも、食欲増進効果のある食品を試してみることをおすすめします。

特に、夏におすすめしたい食品は、良い香りや程よい辛味が食欲をそそる「薬味」です。

大葉、みょうが、ねぎ、しょうが、にんにくは、そうめんにもぴったり。

薬味が苦手な方は、以下のような辛味や酸味のある食品をプラスすることもおすすめです。

辛味:カレー粉、コショウ、トウガラシ

酸味:酢、梅干し、レモン、トマト

カレー粉は香りも良く、少量使うだけで風味が良くなります。

鶏肉に塩とカレー粉をまぶして焼いたり、いつものコンソメスープやトマトスープに加えたりしてもおいしいですよ。

酸味は夏に欲しくなる味覚で、さっぱりとした味は食欲が落ちた時にぴったり。

レンジ加熱してほぐしたささみに梅干しを和えて、そうめんの具にするとたんぱく質も補えます。

冷やしたうどんにトマトをトッピングして、酢やレモンを効かせたつゆをかけた「サラダうどん」は、夏らしさを感じられる1品です。

酢は、食欲増進の他にも嬉しい働きがあるため、ダイエット中や生活習慣病が気になる方にもおすすめです。

< 酢の働き >

・減塩調味料としての役割
⇒酸味が加わることで、少ない塩味でも味をしっかり感じられます。

・食品を傷みにくくする防腐効果
⇒夏は食品が傷みやすく、食中毒菌が増えやすいシーズンです。
酢に含まれる「酢酸」は、細菌増殖を抑える働きがあります。
作り置きやお弁当に入れる食品には、酢を使うと保存性が高まるため、おすすめです。

最近は、万能調味料として使えるものや、ドリンクとして楽しめるものなど、さまざまな種類の酢が販売されています。

すし酢や万能調味料として使われる調味酢は、食塩や糖類を含みます。

これらを摂りすぎたくない方は、穀物酢、米酢、黒酢などのシンプルな原材料で作られた食酢を選びましょう。

3. 代謝を助けるビタミンを取り入れる

糖質、脂質、たんぱく質がエネルギー源に変わることを代謝と呼びます。

代謝には、ビタミンが関わっており、エネルギーへの変換をスムーズにする働きがあります。

麺類だけで済ませる食事は、炭水化物に偏りがち。

代謝に必要なビタミンが不足しやすいため、意識的に補うことが大切です。

特に炭水化物の代謝を助ける「ビタミンB1」を積極的に取り入れることをおすすめします。

食品名1食の目安量ビタミンB1含有量(mg)
豚ヒレ肉100g1.32
うなぎのかば焼き1人前(160g)1.20
豚もも肉100g0.96
焼きサバ四半身(100g)0.30
豆苗1袋(100g)0.24
えのきたけ1/2株(90g)0.22

豚肉はどの部位もビタミンB1が豊富ですが、脂質の少ないヒレやももは特にビタミンB1が豊富。

脂質が少ない分、消化しやすく胃腸に負担をかけないことも、夏バテ対策にぴったりです。

また、土用の丑の日にうなぎを食べる風習は、ビタミンB1摂取の視点からも夏バテ予防の理にかなっているといえます。

豆苗とえのきたけは価格が安定しており、キッチンバサミだけで調理できるお手軽食材です。

えのきたけは、麺類のかさ増しにも使えて、食感のアクセントにもなります。

まとめ

暑いからといって、そうめんやうどんなどの冷やし麺ばかりでは夏バテしやすくなってしまいます。

冷たいものの食べ過ぎには気を付けましょう。

薬味や酸味、辛味を取り入れると、食欲が増して夏バテ予防になりますよ。

糖質の代謝アップには、ビタミンB1が豊富な豚肉やうなぎ、豆苗、えのきがおすすめです。

参考資料

全国健康保険協会 夏バテしない生活習慣を!
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat510/h30/300801001/

農林水産省 みんなの食育 チェック&トピックス シニア世代編 食欲がないときには
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics5_03.html

全国食酢協会中央会 食酢のやさしいガイドブック
http://www.shokusu.org/ebook/index.html?pNo=20

日本食品標準成分表2020年版(八訂)