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健康的なダイエットのすすめ – 医師が警鐘を鳴らす「痩せすぎ」の健康リスク

ヘルスコラム

この記事の著者

【氏名】伊藤たえ(脳神経外科医)

【経歴】
2004年3月 浜松医科大学医学部卒業
2004年4月 浜松医科大学付属病院初期研修
2006年4月 浜松医科大学脳神経外科入局
2013年7月 河北総合病院 脳神経外科 勤務
2016年9月 山田記念病院 脳神経外科 勤務
2019年4月 菅原脳神経外科クリニック 勤務
2019年10月 医療法人社団赤坂パークビル脳神経外科
菅原クリニック東京脳ドック 院長

【専門】
日本脳神経外科専門医  日本脳卒中学会専門医

【資格・免許】
医師免許

私は脳神経外科医として、脳の病気に対する治療だけではなく、脳ドックや検診で病気の予防についてもアドバイスをさせていただいています。

その中でメタボになっている方には、ダイエット指導をさせていただいています。

ダイエットが目指すものは、病気にならない健康な生活です。しかし、最近は、若年女性の過度なダイエットによる痩せすぎが問題となっています。

メディアやSNSで拡散される「理想の体型」に、びっくりすることもあります。

現実離れした細い体が称賛されているように感じます。多くの女性を不健康な方向へと導いているのではないでしょうか。

そこで、今回は、ダイエット問題、特に若い女性の痩せ過ぎについてお話したいと思います。

目次

「痩せる」ことと「健康になる」ことはイコールではありません

ダイエットとは本来、「健康的な体重を維持し、生活習慣病のリスクを減らすための食事療法や運動療法」を指します。

太り過ぎは脳卒中、心臓病、糖尿病、高血圧など、多くの生活習慣病のリスクを高めますので、体重を落とす必要があります。適切な体重管理は不可欠なのです。

しかし、若い人たちの中で「ダイエット」は、「とにかく体重を減らすこと」「細くなること」とイコールで語られることが多くなっています。

芸能人やインフルエンサーの影響もあり、痩せすぎて健康的とは言い難い体型が「美しい」「憧れ」として認識されてしまっているようです。

そのため、多くの若い女性が、過度な食事制限や運動に走っています。

健康を犠牲にした危険なダイエットは、脳と体を蝕む可能性があるので、いま一度考え直してほしいと思います。

痩せすぎがまねく神経系の不調

脳が正常に機能するには、適切な栄養がかかせません。

脳は、ブドウ糖を唯一のエネルギー源としており、ビタミン、ミネラル、良質な脂質など、様々な栄養素のバランスが重要になります。

過度な食事制限、特に炭水化物や脂質を極端にカットするダイエットは、脳へのエネルギー供給不足を引き起こします。

これが続くと、以下のような神経系の不調が現れる可能性があります。

集中力、記憶力の低下

脳がエネルギー不足に陥ると、最も影響を受けるのが高次脳機能です。

仕事や学業のパフォーマンスが著しく低下することがあります。

イライラや落ち込み

脳内の神経伝達物質(セロトニン、ドーパミンなど)は、栄養素を材料として作られます。

栄養不足はこれらのバランスを崩し、精神的な不安定さを引き起こします。

食事が極端に制限されると、脳はストレス状態と判断し、コルチゾールなどのストレスホルモンを過剰に分泌することもあります。

睡眠障害

脳の活動リズムが乱れ、不眠や浅い眠りに悩まされることがあります。

自律神経の乱れ

体温調節機能の低下、動悸、めまい、冷え性、便秘など、自律神経系の様々な症状が出現します。

頭痛、めまい、ふらつき

低血糖や脱水症状、貧血などが原因で、頭痛やめまいが頻繁に起こることがあります。

しびれ、けいれんなどの神経症状

特定のビタミン(特にビタミンB群)やミネラル(マグネシウム、カリウムなど)が不足すると、しびれや手足のけいれんなどの症状を引き起こすことがあります。

さらに恐ろしいのは、脳の萎縮です。

極度の栄養失調が続くと、脳の神経細胞がダメージを受け、脳容積が減少する可能性があるという報告もあります。

痩せすぎが招く身体への影響

若い女性の「痩せすぎ」は、見た目の問題だけではありません。

さまざまな健康への悪影響を及ぼします。

骨粗しょう症のリスク増大

栄養不足、特にカルシウムやビタミンDの不足は、骨密度の低下を招き、若い年齢でも骨粗しょう症になるリスクを高めます。

将来的な骨折リスクも高まります。

月経不順・無月経、不妊症

極端な痩せは、女性ホルモンの分泌を著しく低下させ、生理が止まったり、無排卵になったりすることがあります。

これは将来的な不妊症のリスクを高めるだけでなく、女性ホルモンが持つ骨や血管の保護作用が失われるため、様々な健康問題に繋がります。

免疫力の低下

栄養不足は免疫細胞の働きを弱め、感染症にかかりやすくなります。

風邪をひきやすい、体調を崩しやすいといった症状も、痩せすぎが原因かもしれません。

低体温、冷え性

体脂肪が極端に少ないと体温調節がうまくできず、常に体が冷えている状態になります。

健康的なダイエットとは

では、私たちはどのように「健康的なダイエット」に取り組めば良いのでしょうか。

まず「適正体重」を知る必要があります。BMI(Body Mass Index:体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m))は一つの目安になります。

BMI 18.5~25が標準とされていますが、重要なのはこの範囲内で「最も体調が良い」と感じられる、自分自身にとって適切な体重を見つけることです。

無理にBMIを低くする必要はありません。

バランスの取れた食事

脳に必要なエネルギー源である炭水化物、筋肉や神経伝達物質の材料となる良質なタンパク質、そして細胞膜やホルモン生成に必要な健康的な脂質をバランス良く摂取しましょう。

特に若い女性は鉄分やカルシウムが不足しがちなので、意識的に摂るようにしてください。

不自然な添加物や過剰な糖分・塩分は、体に負担をかけます。

旬の野菜や果物、未加工の肉や魚など、できるだけ自然に近い食材を選びましょう。

食事は単なる栄養補給ではなく、人生の楽しみの一つです。

ストレスを感じるような食事制限は長続きしません。時には好きなものを適量楽しむことも大切です。

運動

健康には、運動は非常に重要です。

有酸素運動は脳への血流を増やし、神経細胞の新生を促すと言われています。

筋力トレーニングは筋肉量を維持し、基礎代謝を高めます。無理のない範囲で、毎日少しずつでも体を動かす習慣を作りましょう。

フィルターがかかったSNSの画像や、根拠のないダイエット情報に振り回されないでください。

情報の真偽を見極める力を養い、必要であれば専門家の意見を求めましょう。

最後に

「痩せていること」が、必ずしも「健康であること」を意味するわけではありません。

本当に大切なのは、心身ともに健康で、毎日を笑顔で過ごせることです。

特に若い女性の皆さんには、社会が押し付ける「痩せ」の基準に囚われず、ご自身の心と体の声に耳を傾けてほしいと強く願っています。