この記事の著者

【氏名】青山愛果(管理栄養士)
【経歴】
2013年~2022年 病院管理栄養士として勤務
2024年 管理栄養士としてフリーランスとして活動
【資格・免許】
2011年3月 栄養士免許 取得
2013年5月 管理栄養士免許 取得
健康のために控えた方が良いとされるコレステロールとトランス脂肪酸。
私たちが普段食べるものにはどれだけ含まれているのでしょうか。
また、摂る量はどの程度に抑えればよいのでしょうか。
今回はそのような疑問を解決していきます。
コレステロールとは
体内で合成できる栄養素で、細胞膜やホルモンをつくる材料になります。
血中コレステロールが高くなると、動脈硬化や心臓病の原因になるため積極的に摂らなくても良い栄養素です。

食事から摂るコレステロールは体内で作るコレステロールの1/3~1/7程度であり、摂取コレステロールが多ければ体内で生成されるコレステロール量は抑えられ、摂取コレステロールが少なければ体内で生成される量は増えるようになっています。
このことから、コレステロールは気にせず摂っても良いと思われがちですが、そうではありません。
既に悪玉コレステロールと呼ばれる「LDLコレステロール」が高い方は、重症化予防のためにコレステロール摂取量を1日200mg未満に抑えることが望ましいとされています。
その一方で、生活習慣病予防の観点からはコレステロール摂取量の目標量は定められていません。
これは、摂取コレステロールが血中LDLコレステロール値に与える影響は個人によって異なるため、画一的な基準を示すのが難しいためです。
コレステロールをいくら摂っても大丈夫という訳ではありません。
コレステロールを多く含む食品を把握して、普段からそればかりを食べていないか気を付けましょう。
コレステロールと聞くと卵を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実は、意外な食品にもコレステロールを多く含むものがあります。
卵をはじめ、コレステロールを多く含む食品を紹介します。
<コレステロールを多く含む食品とコレステロール量>

食品 | 数量 | コレステロール量 |
---|---|---|
鶏レバー串 | 2本(100g) | 370mg |
するめいか | 140g | 350mg |
うなぎの蒲焼き | 1尾(120g) | 276mg |
鶏もも肉皮付き | 1枚(210g) | 187mg |
卵 | 1個(50g) | 185mg |
シュークリーム | 1個(70g) | 140mg |
車エビ | 大2尾(70g) | 119mg |
辛子明太子 | 1/2腹(30g) | 84mg |
卵はケーキなどの洋菓子やお好み焼きなどの料理に使われており、気づかないうちに摂りすぎていることもあります。
コレステロールが気になる方は、上記の食品を普段から重ねて摂らないようにご注意ください。
トランス脂肪酸とは
トランス脂肪酸は、肉類や乳製品などの自然に存在するものと加工食品を製造する過程で生じるものに分かれます。

後者では液状の油を固形化する工程で生まれ、心臓病のリスクを高めると問題視されています。
マーガリンやファットスプレッドなどの植物油が固形化されたものや、それらを使ったパンや菓子類などに含まれており、これらを日常的に召し上がる方は注意が必要です。

トランス脂肪酸の摂取量は、1日の摂取エネルギー量の1%未満が望ましいとされています。
1日2000kcal摂取した場合、トランス脂肪酸は2g未満に抑えなければなりません。
農林水産省が2005~2007年度に実施した調査では、日本人のトランス脂肪酸摂取量は平均総エネルギー摂取量の0.44~0.47%に相当しています。
このことから、偏った食生活でなければ、摂りすぎの心配は少ないと考えます。
日本では栄養成分表示にトランス脂肪酸の記載が無い商品が多いため、どのくらい摂取しているか把握しづらい現状です。
トランス脂肪酸が気になる方は、原材料表示をチェックしてみることをおすすめします。
特に毎日パンを食べている方はぜひ注目していただきたいです。
同じ食パンでも、原材料に含まれている油脂がオリーブオイルやバターを使用しているものもあれば、ショートニングやマーガリンを使用しているものがあります。
毎日食べているものが後者の場合、トランス脂肪酸を毎日一定量摂っている可能性があります。
パンを選ぶ際は、原材料に油脂が含まれないフランスパンやオリーブオイルを使用した食パン・フォカッチャを取り入れてみるのはいかがでしょうか。
また、パンにマーガリンやピーナッツクリーム、明太子スプレッドなどのペーストを塗る方も原材料表示をご覧いただきたいです。
固形である商品の原材料に「植物油脂」「食用精製加工油脂」「加工油脂」と表示されている場合、トランス脂肪酸が含まれる可能性があります。

ピーナッツだけで作られたピーナッツバターやトランス脂肪酸が少ないことが表示されたマーガリンを選ぶと良いでしょう。
まとめ
コレステロールやトランス脂肪酸は、健康を維持する上で摂りすぎに注意したい栄養素です。
それぞれが多く含まれる食品を把握して「自分は摂りすぎていないかな?」と食生活を振り返ってみることをおすすめします。
参考資料
厚生労働省 e-ヘルスネット コレステロール
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-012.html
一般社団法人 日本動脈硬化学会 コレステロール摂取に関するQ&A
https://www.j-athero.org/jp/general/5_colqa/
厚生労働省 トランス脂肪酸に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091319.html
農林水産省 すぐにわかるトランス脂肪酸
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/