この記事の著者

【氏名】青山愛果(管理栄養士)
【経歴】
2013年~2022年 病院管理栄養士として勤務
2024年 管理栄養士としてフリーランスとして活動
【資格・免許】
2011年3月 栄養士免許 取得
2013年5月 管理栄養士免許 取得
ダイエットを始めると、食べたもののカロリーや運動の消費カロリーが気になりますよね。
勘で自分にはこのくらいが適量かな?と考えてしまっては、本来の適量とずれていることも。
今回はダイエット中のエネルギー量の考え方について紹介します。
エネルギーの基本知識
エネルギーは、私たちが生きていくための心臓や脳の活動や、体を動かすために必要なものです。
エネルギー量の単位である「kcal(キロカロリー)」を略した「カロリー」の呼び方で親しまれています。
生きていく上で最低限必要なエネルギー「基礎代謝量」や、食後のエネルギー産生、運動などで使われるエネルギーを「消費エネルギー」と呼びます。
また、食事から摂るエネルギーを「摂取エネルギー」と呼びます。
消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスが崩れると、体重は増減します。
摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば体重は増え、摂取エネルギーが消費エネルギーを下回れば体重は落ちるのです。
1日の消費エネルギー量の考え方
まずは、基礎代謝量と運動量によって1日の消費エネルギー量を把握します。
次に減量目標を決めて1日にマイナスするエネルギー量を決めましょう。
基礎代謝量は計算式を用いる方法もありますが複雑で分かりづらいため、体重計に基礎代謝量が表示されるものがあれば、そちらを参考にしましょう。
基礎代謝量に下記の「身体活動レベル」の数値を乗じたものが1日の消費エネルギー量の推定値です。
この値は18~69歳を対象としています。
- 生活の大半を座って過ごす場合:1.50
- 家事や通勤・散歩などで体を動かす時間がある場合:1.75
- 立ち仕事や徒歩移動が多い場合、または余暇には運動する習慣を持つ場合:2.00
基礎代謝量が1500kcalで身体活動レベル1.75の場合、消費エネルギー量は2625kcalとなります。
この消費エネルギー量と同程度の摂取エネルギー量であれば、体重は増減せず維持すると考えます。
「体重が増え始めた…これ以上は増やしたくない!」という方は、消費エネルギー量と同等まで摂取エネルギー量を抑えることから始めると良いでしょう。
ダイエットにおけるエネルギーの考え方
1日の摂取エネルギーを計算するのは大変ですよね。
減量が目的の場合は、「普段食べている食事からどのくらい減らすか」を軸に考えることをおすすめします。
体脂肪を1kg落とすには、7200kcalのエネルギー消費が必要です。
減量期間の目標を立てて1日にマイナスすべきエネルギー量を算出します。
減量目標を「1か月で-1kg」とした場合、7200kcalを1か月(30日)で割った値は240kcalになります。
「いつも食べている余計なものから摂取エネルギー量を減らす」または「普段していない運動で消費エネルギー量を増やす」ことで毎日-240kcalを目指しましょう。
具体的な方法を紹介します。
< 摂取エネルギー量を減らす方法 >
- 毎日飲んでいる炭酸飲料(500ml)を無糖の炭酸水にする -200kcal
- 毎日飲んでいるビール(500ml)を0kcalのノンアルコールビールにする -200kcal
- 大盛りご飯(300g)を普通盛り(200g)にする -156kcal
< 運動による消費エネルギー量の例 > ※体重90kgの場合
- 20分間 やや早歩き 135kcal
- 20分間 散歩 110kcal
- 3分間 階段をゆっくり上がる 19kcal
飲み物や間食は無意識にとっていることもあります。
1日の食事をメモしてみて、普段とっているものを把握するところから始めてみてください。
減らせるポイントが1つは見つかるはずです。
運動による消費エネルギー量は少なく見えますが、毎日積み重ねることで減量目標を達成しやすくなります。
階段の利用頻度を増やすことや、歩くスピードを上げることから意識してみるのはいかがでしょうか。
エネルギーの過不足は体重でチェック
エネルギー量の計算は目安であるため、実際の数値は異なる場合もあります。
目に見えないエネルギー量の過不足は、体重測定で判断しましょう。
1週間ごとに体重を確認すると、目標としていた1か月後までに軌道修正しやすくなります。
減っていたら今の食事量や運動量を継続し、増えていたら食事や運動を見直します。
また、どんなにやる気があっても、1か月で5%以上体重を落とすことは避けてください。
体重90kgの場合、1か月で落とす体重は4.5kgを超えないようにしましょう。
無理なダイエットは栄養不足となり、体調不良や筋肉量が落ちてしまう原因となります。
まとめ
ダイエットにはカロリー計算が必要なのでは?と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、食べたものを全てカロリー計算しなくても大丈夫です。
まずは食事や運動でエネルギー収支をマイナスにできそうな部分を1つ見つけて取り組んでみることをおすすめします。