この記事の著者

【氏名】青山愛果(管理栄養士)

【経歴】
2013年~2022年 病院管理栄養士として勤務
2024年 管理栄養士としてフリーランスとして活動

【資格・免許】
2011年3月 栄養士免許 取得
2013年5月 管理栄養士免許 取得

体重を減らそうと食事を見直す中で、血糖値のことを考えたことはありますか?

実は血糖値はダイエットと密接に関係しているのです。

血糖値の急上昇・急降下を抑えて適正な範囲で保つことを「血糖コントロール」と呼びます。

ダイエット中の方に注目していただきたい血糖コントロールの方法を紹介します。

知っておきたい血糖値の基本情報

「血糖値」とは血液の中のブドウ糖の量を指します。

食べ物や飲み物に含まれる糖質は、消化吸収を経て「ブドウ糖」となり血液の流れに乗ります。

ブドウ糖を血液から体内に取り込むには膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンが必要です。

糖質を摂りすぎると多量のブドウ糖が血液に取り込まれ、血糖値は急上昇。

それに伴い多量のインスリンが分泌されます。

体内に多量に取り込まれたブドウ糖は余ってしまい、それが体脂肪に変化してしまうのです。

また、インスリンによって急激に血糖値が下がることで空腹感が生じてしまいます。

これによって間食が増えてしまい、体重増加の原因となるのです。

更に、血糖値の急上昇や慢性的に血糖値が高い状態が続くと、インスリンの分泌量や効き目が落ちてしまいます。

食後に血糖値が高くなることを「食後高血糖」と呼び、放置すると糖尿病の発症や動脈硬化のリスクが高まります。

ダイエットはもちろん健康のためにも血糖コントロールは重要なのです。

食後高血糖を防ぐ方法4つ

食事の内容や食べ方によって食後高血糖を抑えることは可能です。

以下の4つのポイントを取り入れることをおすすめします。

  1. 朝イチの甘いものは避ける
  2. 主食・主菜・副菜を揃える
  3. よく噛んでゆっくり食べる
  4. 食後に軽い運動をする

1. 朝イチの甘いものは避ける

朝食は菓子パンやお菓子、ジュースで済ませているという方は要注意。

朝食は1日の血糖値に与える影響が大きいため、血糖コントロールは朝に重点を置くことが大切です。

「セカンドミール効果」といって、最初の食事が次の食事後の血糖値に影響します。

朝食後の血糖値の上がり方を抑えられると、昼食後の血糖値の上がり方も緩やかになるのです。

朝食前の血糖値が低い状態で、砂糖などの糖類を多く含んだ食品を食べると一気に血糖値が上がってしまいます。

血糖値が下がりきらないまま昼食をとることで、昼食後の血糖値も上がりやすくなってしまうのです。 昼食後の血糖値が高いと、夕食にも影響するため1日を通して血糖値が高くなってしまいます。

2. 主食・主菜・副菜を揃える

ご飯、パン、麺などの主食だけに偏った食事は血糖値を上げやすいので、以下のようなメニューは要注意。

  •  海苔茶漬け
  •  塩むすび
  •  具材の無いパンや菓子パン
  •  たぬきうどん
  •  ざるそば

糖質にたんぱく質と食物繊維が加わることで血糖値の急上昇を抑えられます。

定食のように主食・主菜・副菜を揃えた食事が血糖コントロールの基本です。

下記は主食に偏ったメニューから主菜や副菜の要素を入れたメニューへの変更案です。

  •  海苔茶漬け → 焼き鮭を入れたお茶漬け
  •  塩むすび → 鮭おにぎり、煮卵おにぎり、明太子おにぎり
  •  具材の無いパンや菓子パン → ハムレタスサンド、卵サンド、チーズパン、ソーセージパン
  •  たぬきうどん → 月見うどん、わかめうどん
  •  ざるそば → 山菜そば、鴨南蛮そば

朝は忙しくて上記のようなメニューが難しい場合は、鮭おにぎり、パンと牛乳など手軽に主食と主菜を兼ね備えられる食品をおすすめします。

3. よく噛んでゆっくり食べる

忙しくて短時間で食事を済ませる方も多いかと思います。

しかし、早食いをしてしまうと急激に血糖値が上昇してしまいます。

これによって、短時間で多量にインスリンを分泌しなければならなくなり、膵臓は疲れてしまうのです。

糖尿病になるリスクも高まるため、よく噛んで食べることはとても大切です。

また、満腹感を感じにくくなることで食べ過ぎにもつながります。

食べ過ぎを防ぐためにも、初めから少なめの量で食事を用意するのも良い方法です。

休日や時間に余裕のある時だけでも、意識的に噛む回数を増やすことをお試しください。

4. 食後に軽い運動をする

食後に体を動かすことで筋肉でのブドウ糖消費を促し、食後血糖値の上昇を抑えます。

「運動する時間がとれない」「体を動かすのは苦手」という方もご安心ください。

食後に2分歩くだけでも血糖値の上昇を抑えることが期待できます。

数分歩くことを1日の中でこまめに取り入れると、更に効果的です。

あえて遠くのトイレを利用するなど、歩く距離を延ばす工夫をするのも良いでしょう。

食後は座って休んでいることが多い方は、少し歩いて気分転換してみることをおすすめします。

まとめ

ダイエットはもちろん、健康のためにも大切な血糖コントロール。

忙しいと4つのポイントを毎日取り入れるのは大変かと思います。

取り組めそうなポイント1つから始めてみるのはいかがでしょうか?

参考資料

厚生労働省 e-ヘルスネット 食後高血糖
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-086.html

保健指導リソースガイド 肥満予防に「ゆっくり食べる」ことが効果的 よく噛んで食べるための8つの対策
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2019/008572.php

糖尿病ネットワーク 食後のわずか2~5分の軽い運動で血糖値は下げられる 糖尿病の人は運動を
https://dm-net.co.jp/calendar/2022/036963.php